昨年はコロナによる行動制限がなくなり、来店客数が減少しました。コロナ禍以前の2019年と比べると2021年は3割以上の大幅な伸びを見せていましたが、昨年はこれまで急激に伸びてきた反動が出た形となりました。
こういった状況の中、お客様の変化で特に感じたのは、早朝や夜間に買い物をされる方が減少した事です。行動制限を伴っていたこの2年ほどの間に「おうち時間の過ごし方」等が確立され、仕事帰りに飲みに行く、あるいはショッピングを楽しむという方が減りました。つまり、コロナ禍によって消費者の行動様式が変わったのだと思います。
その反面、午前中の来店客数は増えています。午前10時や11時など開店から1時間ほどの間に買い物をされるお客様が増えました。人々の生活習慣が変わると、買い物をされる時間帯も変わってきます。
そして、昨年の九州は空梅雨で、四季のメリハリにも乏しい1年でした。ここ数年、九州や西日本でも豪雨による被害が起こっています。災害級の大雨はこれ以上発生しないことを祈るばかりですが、雨によって山から栄養分が河川を通って海に流れ込むといった側面もあります。近年の海水温の上昇も含め、対象魚や釣り方も日々変化し、予測が難しいが故に、店舗においては在庫過剰になる傾向がありました。お客様に対し、シーズンに合った最適なサービスを提供することがとても難しい年となりました。
一方、良かった点としては、若年層の釣り人が増えた事です。これはあらゆる場面で感じます。例えば船釣りにおいて、以前は50~60歳代のシニア層が主流でしたが、今は30~40歳代の働き盛りの方が多くなっています。当社の会員様データを分析しても、20~40歳代が活性化しています。コロナ禍で注目された釣りが、レジャーとして定着し昇華しているのだと思います。我々は3年セオリーと呼んでいますが、新規の会員様の中で、2年経ってもお買上げが続いているのは60〜70%、3年後まで残って頂けるのは、いつの時代も30~40%です。その中で、非常に熱心に釣りをされる、釣り熱の高い方々が残っていらっしゃるのだと捉えています。そういった方々は、釣りへの取り組みが真剣ですから、高性能で高価格な釣具もお求めになられており、実際に客単価が伸びています。働き盛りの方が、多数新規顧客になって頂いているのはとても嬉しい事です。こういった熱いお客様の気持ちを更に盛り上げていく必要があると考えています。
今の若い方は心の価値を求めています。大きい魚を釣りたい、美味しい魚を食べたい、SNSに映える写真を撮りたい、といった欲求をストレートに実現しようとされます。そのため、昔のように堤防釣りから磯釣り、沖釣りと順番にステップアップしていくのではなく、いきなり大型の青物釣りやマグロ釣りなどに挑戦される傾向が見受けられ、釣具も順番に良い物を買っていくのではなく、いきなり最上位の物を選ぶ事があります。こういった変化に我々もしっかり対応して、お客様に更に釣りを楽しんで頂けるよう取り組んで参ります。
また、昨年は釣り場の減少問題が特に深刻でした。当社の調べでは、コロナ禍の2年間で、当社が展開する19県で100カ所以上の釣り場が、釣り禁止を含めて何らかの規制を受けました。規制された理由は釣り人のマナー問題もありますし、それ以外の理由もあります。逆に禁止場所が開放されたのは4カ所のみであり、釣り場が大きく減少しているのは明らかです。店舗で出来る事としては、マナー啓発についての店内放送やポスターの掲示、日釣振のゴミ袋の配布などですが、これらは今後も継続してまいります。また、社員の意識も高くなっており、会社として釣りの研修に行った時はもちろん、プライベートで釣行した際にも釣り場清掃を行う社員が増えました。
釣具店は釣り場あっての商売であり、まさに我々の生命線です。日釣振の活動とも連携しながら、釣り場保全のためには何でもやるという気持ちで取り組んで参ります。