戦後、日本国有鉄道小倉工場に勤務していた先代は、小倉市の常盤橋々上でひしめき合う釣り人を眺めていました。そのような光景を目の当たりにしたことから「これからはレクリエーション時代になる。中でも、釣りは日本人にとってかけがえのない趣味になる。釣具店を開業しよう」とひらめきました。そして、橋の際に1.5坪の2階付店舗を見つけ、昭和24年10月に開店。同25年には、当時羨望の的であった国鉄を辞めるほどまでに強い熱意を持って本格的に釣具の小売販売業としての第一歩を踏み出しました。当時の釣具店は11月から3月までは殆んど休業状態で、半年商売と言われていました。しかし、生活を賭けた先代は、一人も来客のない寒い冬の日も、元旦すら一日も休むことなく営業し続けました。厳しい状況が続きましたが、時折お買い上げ頂くお客様には心からの感謝を込め、後ろ姿が見えなくなるまで夫人とともに手を合わせ拝む日が続きました。